・コミュニケーションに失敗して子どもが傷ついたらどうしよう
・私の声かけのせいで不登校が悪化したらと思うと、声かけできない
・具体的にどんな声かけをしたら不登校の子どもは喜ぶの?
親として不登校の我が子のために声かけをしたいけど、具体的にどのように声をかければ良いか分からず悩んでしまう人は非常に多いです。
そこでこの記事では、不登校の子どもとのコミュニケーションでもう悩まなくて済むよう、不登校の原因別の声かけの具体例から声かけ以上に大切な親の心構えまでまとめて解説します。
この記事を読めば、不登校の子どもに対する接し方のポイントが分かります。
不登校の子どもが望むのは、「学校へ行くように強制しないでほしい」と「自分を優しく見守ってほしい」の2つです。不登校の子どもに対する声かけで悩んでいる人は、最後まで読んでください。
まつい けいすけ(著者)の実績
・文系から中学理科の教員採用試験に一発合格
・不登校〜難関校志望の小中学生用の塾を経営
・毎年150件以上の教育相談に対応
【不登校の息子にどう声かけをすれば良いか分からない】50代ママからのご相談
ご相談内容
はじめまして。中学2年生の息子が不登校になり、もう数か月が経ちます。いろいろあったようですが、学校で友達とトラブルがあったことが不登校のきっかけなのかなと思っています。今は家にいても何もしません。感情の起伏もありません。他の記事を拝見しましたが、きっと無気力型の不登校だと思います。
自分の部屋に引きこもる時間が増えたので、どのように声かけをしたらいいのか分かりません。もともと口数が少なく、母親ですけど何を考えているのか分からないところがあった子なので、困っています。
こんな時、どんなコミュニケーションを取ればいいのでしょうか。どうぞよろしくお願いいたします。
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不登校の子どもが親に望むこと2選
・学校へ行くように強制しないでほしい
子どもが抱える悩みを認め、自分を分かってほしいと思っています。
子どもが抱える悩みを認め、自分を分かってほしいと思っています。
・自分を優しく見守ってほしい
あれこれうるさく言わずに、ゆっくり心を休ませてほしいと思っています。
あれこれうるさく言わずに、ゆっくり心を休ませてほしいと思っています。
小中学生の子どもの心は、とても複雑です。
「うるさい」「自分に構わないでほしい」などと言いますが、あなたが一切口出しをしなければ、「親は自分を見てくれない」「分かってくれない」と不信感を抱くようになります。
不登校の子どもの心のなかには、親に対して
・自分を見てほしい
・助けてほしい
・心配してほしい
「今日の夕ごはんは何を食べたい?」のような日常会話を積極的に投げかけ、「お母さんはちゃんと見ている」としっかりと感じさせてあげましょう。
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【子どもの自己肯定感を高める】声かけのポイント5選
不登校の子どもは、自己肯定感が低くなっていることが多いです。そんな子どもの心を軽くし、自分に自信が持てるようになる声かけのポイントを紹介します。
休むのを認める声かけをする
まずは、子どものことを認める声かけをしましょう。
不登校の子どもは、
・学校に行けない自分が情けない
・自分はダメな人間だ
・行かなきゃならないことは分かるけど、行きたくない
1番身近な家族のあなたが、子どものことを認めてあげる。何よりも子どもの心が軽くなります。
休むのを認める声かけの具体例
・今はゆっくり休んで大丈夫だよ
・今までよく頑張ったね
・無理をして学校に通い続けるのが正しいわけじゃないよ
子どもが家にいるのを認める声かけが大切です。
親は子どもの味方だと伝える
自分の存在が認められ、助けを求めても大丈夫だと分かるので自分が大切にされていると実感できます。
定期的に、親は子どもの味方だと伝えてあげましょう。
子どもの味方だと伝える声かけの具体例
・何かあったときは、お母さんが絶対に守るからね
・いつでも話を聴くから、何かあったら遠慮なく言ってね
・あなたが笑顔でいられる場所を作るのが、お母さんの仕事だから
子どもを問い詰めたり追い詰めたりする雰囲気が出ないよう、優しく穏やかに声かけをしましょう。少しゆっくり話すイメージですね。
子どもが話してくれればしっかり聴き、話さなければ見守る。この意識が大切です。
子どもが否定的なことを言ったら肯定する
子どもが否定的なことを言ったときが、親子の絆を深めるチャンス。積極的に肯定しましょう。
・どうせ俺にはできない
・やっても無駄だから
・やる前から結果は分かっている
子どものこのような言葉の裏には、「そんなことないよって言ってくれるよね?」「大丈夫だよって言ってくれるよね?」という気持ちが隠れています。
子どもを肯定する声かけの具体例
・そんなことないよ
・あなたは、生まれてきたときからずっとお母さんの大切な存在なんだから
・あなたはお母さんの1番だから、絶対に大丈夫だよ
自己肯定感が下がっているので、何度も何度も自分を否定する言葉を言う子どもが多いです。
間違っても「分かっているなら、変われるように何とかしなさい」などと怒ってはいけませんよ。何度も否定的なことを言われてイライラしてしまいますが、根気強く子どもの自己肯定感を高めていきましょう。
アイメッセージで言葉を伝える
アイメッセージとは、「私」を主語にして伝えることで、相手に配慮しながら自分の気持ちや考えを伝えるコミュニケーションです。
柔らかい表現になり、お互いを尊重しながら自分の気持ちを伝えられるメリットがあります。アイは英語の「I(私)」から来ています。アイメッセージの反対は、ユーメッセージです。
アイメッセージの具体例
・そう言われると(私は)悲しい
・もう少し早く起きてくれると(私は)うれしい
・部屋を掃除してくれると(私は)助かる
ユーメッセージの具体例
・(あなたは)そんな言い方しないで
・(あなたは)もっと早く起きようよ
・(あなたは)部屋を掃除してね
同じ声かけでも、伝え方で印象が全然違いますね。アイメッセージでコミュニケーションを取る意識を持ちましょう。
小さな変化を認めて褒める
子どもが不登校だと、焦りや不安からつい小さな変化を見逃しがちです。子どもや自分を責めたり、過干渉になったりしてしまう人も多いです。
子どもの小さな変化に気づけるよう、今できていることに目を向けるようにしましょう。
小さな変化を認めて褒める声かけの具体例
・いつもより早く起きられたね
・机に向かっている時間が増えたね
・笑った回数が増えたけど、そっちの方がお母さんはうれしいな
アイメッセージも一緒に伝えられると良いですね。
>> 【アンケート調査】不登校のきっかけと学校復帰に効果的だったこと
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【不登校の原因別】子どもへの声かけの具体例
不登校の原因別の良い声かけや悪い声かけ、接し方のポイントを紹介します。不登校の原因は、令和4年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果を参考に7つに分けました。タップで各見出しに直接移動できます。
【無気力型】の不登校の子どもへの声かけ
・自分の趣味以外に何も興味を示さない
・一日中ゲームばかりしている
・いつもだるそうでやる気が全くない
家でこのような様子が見られる場合、無気力型の不登校でしょう。
悪い声かけの例
・いつまで何もしないでいるの?
・このままじゃダメでしょ!
・近所の人から心配されちゃうよ
・みんな頑張ってるのに、どうしてできないんだろうね
・親としてこんなに心配してるのに、なんで分からないの?
・ゲームばかりしているけど、他のことはしないの?
・学校に行かないと社会に出てから困るんだよ
・いい年なんだから、しっかりしなさい
・お母さんが悲しむって分かるでしょ?
・お兄ちゃんを見習いなさい
・友達から置いていかれちゃうんだよ
良い声かけの例
・ちょっと買い物手伝ってくれない?
・ご飯を食べに行こう
・この前の〇〇面白かったね
・新しいラーメン屋さんができたんだけど、今度行ってみない?
・パソコンの調子が悪いんだけど、見てくれない?
・あなたがいつも聴いている曲について教えてよ
・一緒にゲームやってみたいんだけど、教えてくれる?
・おばあちゃんとお散歩行こうと思うんだけど、付き合ってくれない?
・〇〇公園の桜がきれいなんだって。一緒に見に行こう
接し方のポイント
・批判や評価を控える
・他人と比較しない
・本人の生活リズムを受け入れる
・趣味や好きなことを認める
・簡単なお手伝いをさせる
現在、子どもは日常生活に刺激を感じていません。子どもを外に連れ出して遊びや買い物、運動をさせるための声かけが効果的です。
家事を手伝ってもらったり、家庭内の役割*をもたせたりするのも良いですね。子どもの生活に活気やメリハリがつきます。
*「犬の散歩は子どもの仕事」などの家庭内のルール作り
【遊び・非行型】の不登校の子どもへの声かけ
・悪い友達とグループを作り、学校に通わない
・夕方から夜にフラフラと外出する
・反抗的な態度が目立つ
・夜ふかしが続き、昼夜逆転生活をしている
・SNSやゲームに没頭している
家でこのような様子が見られる場合、遊び・非行型の不登校でしょう。
悪い声かけの例
・本当にダメな子だね
・信じられない!こんな子どもに育てたつもりはない
・なんでこんなことばかりするの?
・あなたのせいで家族が困ってるのよ!
・警察のお世話になりたいの?
・近所の目が気になって、お母さんは恥ずかしい
・親の言うことを聞かないなら出ていきなさい
・SNSばかりやってないで、しっかりしなさい!
・そんな友達とつるんでいたら、将来が台無しだよ!
・こんな時間まで外で何してるの!もう帰ってこなくていい!
良い声かけの例
・あなたのことが大切だから心配している
・あなたのことを信じているよ
・一緒に解決策を考えよう
・悪いことをしたけど、正直に話してくれてありがとう
・一緒にできることを探していこう
・今日は家で一緒にご飯を食べない?
・学校以外でも、何かやってみたいことはある?
・あなたの将来のことを一緒に考えていきたいんだ
・得意な教科1つに絞って勉強してみるか
・失敗しても大丈夫だから、一緒にチャレンジしよう
接し方のポイント
・批判や評価を控える
・子どもの話に耳を傾ける
・悪いことをしたらきちんと叱る
・学校だけでなく少年サポートセンターや児童相談所*と連携する
・一貫した態度で接する
・愛情表現を心がける
*児童相談所は、18歳未満の子どもに関するあらゆる問題について相談に応じる専門機関
遊び・非行型の不登校の子どもには、「自分を見てもらいたい」「構ってもらいたい」という心理が働いていることが多いです。悪いことをしたらきちんと叱るのと同時に、子どもの変化を信じて愛情表現を忘れないようにしましょう。
【不安など情緒的混乱型】の不登校の子どもへの声かけ
・朝になると「気持ち悪い」「頭が痛い」と訴える
・食欲があまりない
・手足の震えが見られる
・寝付きが悪く夜中に目が覚める
・特定の曜日や授業があるときだけ休みたがる
家でこのような様子が見られる場合、不安など情緒的混乱型の不登校でしょう。
悪い声かけの例
・頑張って学校に行きなさい
・みんな行っているよ
・どうして行けないの?
・そんなに調子が悪いなら病院に行きましょう
・そんなに休んでたら、みんなから置いていかれちゃうよ
・本当に具合が悪いの?さっきまで元気だったじゃない
・いつまでこんな状態が続くのかしらね
・甘えているだけじゃないの?
・そんなに不安なら転校も考えないといけないから、どうしたいかちゃんと言って!
良い声かけの例
・今日の調子はどう?
・無理しなくていいんだよ
・一緒に考えていこう
・つらかったこと、話してくれても大丈夫だからね
・一緒にいるからゆっくり休もう
・焦らなくて大丈夫だから、あなたのペースを大事にして
・今日は〇〇ができてすごく良かったと思うよ
・お母さんはいつでもあなたの味方だから安心してね
・できることから少しずつ始めていけばいいさ
接し方のポイント
・起きる時間と寝る時間は、学校に行くときと同じにする
・食事は決まった時間に取るようにする
・不安が取り除かれるまでは、登校を強要しない
・家族で「楽しい時間」を作る
・趣味に打ち込める環境を作る
・スクールカウンセラーを活用する
・放課後の学校見学や30分間の保健室登校など、小さな目標を親子で設定する
焦らない、急がせない、子どもの気持ちに寄り添う。これがキーワードです。一つひとつの小さな変化を大切に、子どものペースで進んでいきましょう。
両親の不仲や離婚、引っ越し、親子関係の急激な変化などが原因の場合は、家族全員が心穏やかに過ごせる状態を作る必要があります。
【学校生活上の影響型】の不登校の子どもへの声かけ
・いじめや嫌がらせを受けている
・授業に全然ついていけない
・いじめられてはいないけど、友達とうまくいかない
このような様子が見られる場合、学校生活上の影響型の不登校でしょう。
悪い声かけの例
・頑張れば大丈夫だよ
・気にしすぎだよ
・あなたが我慢すれば済む問題でしょ
・あなたにも原因があるんじゃないの?
・いじめなんて気にしない方がいいよ
・勉強できないのは努力が足りないからでしょ
・直接文句を言ってあげるから、誰に何をされたか言いなさい
・この程度で学校に行けないなんておかしいよ
・みんな同じような経験をして乗り越えているんだから、あなたも成長しなさい
良い声かけの例
・お母さんはあなたの味方だから、一緒に解決策を考えよう
・すぐに気がつかなくてごめんね
・何とか解決したいから、具体的に何に困っているか教えてもらえる?
・つらい思いをさせちゃったね
・学校の先生にどう伝えたらいいか、一緒に考えてみない?
・先生に相談するときは、お母さんが一緒に行こうか?
・お母さんがそばにいるから、できることから少しずつ始めていこう
・どんなことがあったのか、話せる範囲で教えてくれるとうれしいな
・いじめは許されない行為だから、いじめられたあなたが悪いなんてことは絶対にないよ
接し方のポイント
・子どもの訴えを真剣に聴く
・解決を急がず子どものペースを尊重する
・いじめや仲間はずれの問題に親がズカズカ入りこまない
・自分が学校との相談窓口になるイメージを持つ
学校生活上の影響型の不登校の場合は、学校との連携が大切です。
子どもが「学校生活における特定の問題を避けたい」と思っているからです。不登校の原因となる問題を解決することが大切であり、学校と連携して素早く対処することが求められます。
子どもがネットいじめを受けている場合は、匿名性が高いためいじめの発見や加害者の特定が難しいです。
*ネットいじめとは、LINEでの仲間はずれ、SNSに顔写真を勝手にアップロードする、容姿や性格を誹謗中傷する書き込み、本人になりすましてコメントを投稿するなどのインターネット上のいじめのこと
ネットいじめは、近年急増しています。アップロードされた写真や投稿の削除やアカウントの削除などは、学校だけでは対応しきれません。
【年度別ネットいじめの発生件数】
児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果の概要(令和2年度〜4年度)を参考に著者が作成
普段からネットいじめ対策をすると共に、ネットいじめの被害にあったときの相談先や対処法を把握しておきましょう。
>> ネットいじめを含むネットトラブルの詳細と対策
【意図的な拒否型】の不登校の子どもへの声かけ
・学校に行く意味が分からない
・学校という仕組みが合わない
・学校に行ってもメリットがない
明確な意思を持って登校を拒否する場合、意図的な拒否型の不登校でしょう。
悪い声かけの例
・そんな考えは甘いよ!
・将来困るのはあなただよ
・社会に出たらそんなの通用しない
・そんな理想論ではやっていけないよ
・親の言うことをちゃんと聞きなさい!
・みんな我慢して学校に通っているんだから、あなたも我慢しなさい
・反抗期だからって、そんなのは許されないよ
・そんな特別扱いが許されるわけないでしょ!
・親がどれだけ苦労するか分からないの?
良い声かけの例
・その考えをもっと詳しく聞かせて
・あなたにとって理想の学校はどんな感じなの?
・一緒に選択肢を探っていこうか
・〇〇についてもっと深く学びたいんだね!どんな方法があると思う?
・あなたの夢を叶えるために、お母さんにできることはある?
・その価値観は大切にして良いと思うよ
・自分の道をちゃんと考えている証拠だから、それはすばらしいと思うよ
・将来のために、今どんなことを始めたいと思ってる?
・学校以外の選択肢も、一緒に探していけたらいいな
接し方のポイント
・子どもの意見を尊重する
・批判や否定を控える
・子どもと一緒になって考える姿勢を見せる
・押し付けではなく提案をする
・決定権を子どもに持たせ、失敗は学びの機会だと考える
意図的な拒否型の不登校の子どもは、自分の中に明確な主張があります。子どもと信頼関係を作ったうえで、真剣に話し合うことが重要です。
学校に行かないという強い意志があるので、子どもの考えが変わらない限り再登校は難しいです。無理やり学校に通わせようとしてはいけません。
固定概念を捨て、進路選択に向けた情報収集や必要な資格の確認など、将来を見据えたサポートを考えましょう。
途中で子どもの考えが変わって学校に行くことに前向きになった場合は、「自分がその方が良いと考えたんだから、行ってみればいいと思うよ」と背中を押してあげればOKです。
【発達障害】による不登校の子どもへの声かけ
発達障害による不登校は、子どもの努力不足や甘えではありません。それぞれの特性を正しく理解するところがスタートです。
自閉スペクトラム症(ASD)、学習障害(LD)、注意欠陥・多動性障害(ADHD)に分けてまとめます。
【悪い声かけの例】
全般
・いつまでも甘えていちゃダメでしょ
・みんなできているのに、なんであなたは……
・もっと努力すればできるはずだよ
・そんなことで疲れるわけないでしょ
・普通の子みたいにできないの?
・いつまで特別扱いが必要なの?いい加減成長しなさい!
・お母さんはいつまでも手助けできないんだよ?分かる?
・そんなの言い訳にしか聞こえないよ!
ASD
・友達と仲良くするのは当たり前でしょ
・そんなにこだわらなくて大丈夫だよ
・なんでいつも同じことで困るんだよ!
LD
・せっかく学校の先生がプリント届けてくれたんだから、宿題は自分でできるようになって
・読み書きは基本中の基本だから、できるようにならないと自分が困るんだよ
・こんな簡単な問題も解けないの?
ADHD
・いい加減、落ち着きなさい!このままじゃ学校に戻れないよ!
・集中力がないのは怠けているからだよ
・周りの迷惑も考えなさい
【良い声かけの例】
全般
・○○が得意なんだね!すごいと思うよ!
・苦手なことは少しずつ練習していけば大丈夫だよ
・人それぞれなんだから、あなたに合った方法を見つけよう
ASD
・友達との関係で困ったときは、いつでも相談してね
・できたことを一緒に確認していこう
・疲れたでしょ?静かなところで休んでいいからね
LD
・メモを取るのが大変なら、写真を撮ってもいいよ
・パソコンを使って勉強するのも良いアイデアじゃない?
・勉強は自分のペースで大丈夫なんだよ
ADHD
・タイマーを使って、時間の感覚をつかんでいこう
・集中力が切れたら、少し体を動かしてみるのはどう?
・急がなくて大丈夫だから、1つずつ順番にやっていこう
接し方のポイント
・子どもの長所を生かせる場を作る
・他人と比較しない
・子どものレベルに応じた適切な要求をする
・子どもの視点で物事を考える
「発達障害の子どもはみんな不登校になる」という考えは間違っていますが、発達障害のある子どもの多くが「クラスに溶け込みにくい」と感じているのは事実です。
子どもに合わせた支援を行うことが、学校復帰に繋がります。
【複合型】の不登校の子どもへの声かけ
不登校になったきっかけが1つにまとめられず、複数の原因が複雑に絡み合っているタイプの不登校です。
・いじめと両親の離婚が重なった
・テストに対する過度なプレッシャーとSNSの炎上が重なった
・受験の不安と引っ越しが重なった
もちろん、原因が2種類とは限りません。一つひとつのきっかけは小さくても、複数の原因が重なることで立ち直れなくなるほど深刻になってしまうこともあります。
【悪い声かけの例】
・早く全部解決しないと手遅れになるよ
・これ以上心配かけないでよ
・勉強さえ頑張ればあとは何とかなるよ
・もう大きいんだから、自分で解決しなさい
・いつまでも逃げていちゃダメでしょ!
・そんなに弱い子に育てた覚えはないよ
・学校に行かないと友達もいなくなるよ!
・そんなんじゃ将来社会に出て働けないよ
・離婚はあなたには関係ないでしょ!勉強に集中しなさい
【良い声かけの例】
不安を感じているとき
・いろいろなことが重なって大変だったね
・1つずつ整理していこうか
・今はしんどいことがたくさんあるけど、一緒に考えていきたいと思っているから頼ってくれて大丈夫だよ
・話せるときが来たらいつでも聞くから大丈夫だよ
人間関係の悩みと勉強の悩みが重なっているとき
・友達のことも勉強のことも一緒に考えていこう
・今はみんなと同じペースじゃなくてもいいんだよ
・焦らなくて大丈夫!あなたのペースでいいんだからね
・勉強はあなたの好きな数学と理科に絞ってみようか
将来への不安を感じているとき
・焦らなくても大丈夫だよ
・道は1つじゃないから、今はゆっくり休んでいいんだよ
・休むのも大切な時間だから、今は心を休ませることに専念すれば大丈夫だよ
・急がば回れって言って、遠回りかもって思ってもその道がベストなこともあるからあなたの道を一緒に探していこう
【接し方のポイント】
・全ての解決を急ごうとしない
・子どもの複雑な感情を受け止める
・子どもの気持ちに寄り添う
・一緒に考える姿勢を見せる
・子どもが複数の悩みでパニックになっているときは、1つに焦点を当ててあげる
複合型の不登校への対応では、問題の複雑さを理解し、一つひとつの原因に丁寧に向き合うことが重要です。
声かけは、その第一歩です。焦らず、じっくりと子どもの気持ちに寄り添い、安心感を与えられる言葉を選んでいきましょう。
全ての問題をまとめて解決しようとしてはいけません。子どものペースを尊重しながら、少しずつ改善を目指していくことが大切です。
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不登校の3つの状態と子どもへの接し方のポイント
不登校 は、子どもの様子や行動によって 3つの状態に分けることができます。タップで各見出しに直接移動できます。
【不登校初期】学校に行くのを激しく拒否
子どもが不登校になりそうな状態から、不登校になったばかりの状態です。
子どもの状態と考えていること
子どもの状態 | 子どもが 考えていること |
精神的に不安定 ・学校に行くのを強く拒否する・人間関係に疲れている ・イライラしていることが多い | どうすれば学校に行かなくて済むのか ・他人と接触するのが怖い・学校に行けない自分が情けない ・学校に行けない自分に嫌気がする ・行かなきゃダメなのは分かるけど…… |
不登校初期の子どもに対する接し方のポイント
完全に不登校になる前
①子どもに登校刺激を与える
②保健室登校や午前中だけの登校など、さまざまな選択肢があることを教える
③月曜日だけ休んで、火〜金曜日は登校するといったルールを決める
学校に行きたくない気持ちに共感を示しつつも、最初は登校を促しましょう。
普通に登校するのが厳しい場合は「②の保健室登校や午前中だけの登校」、それも厳しい場合は「③の1週間に1日だけ休む登校の仕方」を提案します。
普通に登校するのが厳しい場合は②、②も厳しい場合は③というように少しずつ譲歩するイメージです。
完全に不登校になった後
・ここまでよく頑張ったと子どもを認める
・親は味方だから、何かあったら言うように伝える
・子どもをゆっくり休ませることを優先させる
嫌々ながら、よく頑張って学校に行き続けたと褒めてあげましょう。
まだ精神的に不安定な時期です。子どもが自分から塾に行きたいと言わない限り、塾のことを考える必要はありません。
もともと塾に通っていた場合は、休塾や退塾を検討しましょう。子どもが落ち着いてから、不登校に対応したオンライン塾に変更するのがおすすめです。
【不登校中期】落ち着いているけど無気力
子どもが完全に不登校になってから時間がたち、不登校に慣れてきた状態です。
子どもの状態と考えていること
子どもの状態 | 子どもが 考えていること |
落ち着いているけど無気力 ・不登校に慣れてくる・普段は落ち着いている ・学校へ行くように促すと反抗的になる ・少しずつ毎日の生活に飽きてくる | 退屈だけど学校には行きたくない ・することがなくて暇だ・退屈だから何かしようかな ・学校に行けない自分はダメな人間だ |
不登校中期の子どもに対する接し方のポイント
・日常的なコミュニケーションを続ける
・子どもの様子を注意深く見守る
・非行に走った場合はしっかりと叱る
子どもは、不登校に慣れて少しずつ毎日の生活に飽きてきます。刺激がないため無気力になることもありますが、退屈しのぎに何かしらの行動を始めることも多いです。
・絵を描く
・本を読む
・アニメを見る
このような行動の場合は、生活リズムが崩れないように注意していれば問題ありません。そのまま見守りましょう。
しかし、
・夜遅くに外出する
・親のお金を盗む
・SNSで出会った人と会う
・ネットショッピングやスマホアプリの課金を繰り返す
注意することで、「お母さんはあなたのことをちゃんと見ているよ」「お母さんはあなたのことを大切に思っているよ」というメッセージを子どもに伝えることができます。
【不登校後期】積極性や行動力が見られる時期
学校には行かなくても、勉強を始めたり習い事を始めたりする状態です。不登校後期になったら、塾の無料体験を受けてみるなど将来に向けて動き出しても大丈夫でしょう。
子どもの状態と考えていること
子どもの状態 | 子どもが 考えていること |
積極性や行動力が見られる ・精神的に落ち着いている・学校には行かなくても習い事には行ける ・家事を手伝ったり外出したりできる | 自分を変えるきっかけが欲しい ・ずっとこのままなのかな・このままじゃダメだ ・自分からは学校に行くと言い出せない…… |
不登校後期の子どもに対する接し方のポイント
・学校復帰や将来の社会生活に向けたルール作り
午前中は自分で勉強して夜はオンライン塾に通う、休日は家族と出かけるといったルールを作る
午前中は自分で勉強して夜はオンライン塾に通う、休日は家族と出かけるといったルールを作る
・規則正しい生活の心がけ
朝起きて夜眠る、一般的な子どもの生活リズムに整える
朝起きて夜眠る、一般的な子どもの生活リズムに整える
・学校復帰の手伝い
不登校の理由がいじめや担任が合わないなどの学校生活によるものではない場合、学校へ通う準備をする
不登校の理由がいじめや担任が合わないなどの学校生活によるものではない場合、学校へ通う準備をする
不登校が続いていますが、「何か自分を変えるきっかけはないだろうか」と考えていることも多いです。まずは、不登校に対応した塾に通って子どもの様子を観察します。
1〜2ヶ月塾に通って問題なさそうなら、学校へ通う準備を始めても問題ないでしょう。
学校を休んでいた子どもが「明日から学校へ行きます」と自分の口から言い出すのは、とても勇気が必要です。なかなか言えません。
子どもの背中を優しくポンと押し、一歩前へ進ませてあげるのも親の仕事です。学校へ行くことを強制しないように注意しながら、登校を促してみるのがおすすめです。
・いじめられた
・担任が合わない
・自分はいじめられていないけど、いじめっ子が怖い
このように学校生活に不登校の原因がある場合は、学校復帰をゴールにする必要はありません。高校進学や将来の社会生活に向けて、子どもの社会性を伸ばしてあげましょう。
子どもに登校を拒否されたときも同じです。慌ててはいけません。塾に通いながら、少しずつ子どもの社会性を伸ばしてあげましょう。
>> 【塾経営者が厳選】不登校の小中学生におすすめの塾5選!子どものことを考えた塾の選び方も解説
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登校したら褒める!ただし学校に行った事実を褒めるのはNG
登校したことを認めて褒めることで、子どもの自信につながります。
子どもの中で「学校に行こう」という決心が芽生えてから実際に一歩を踏み出すまでには、想像以上の勇気と努力が必要です。
この気持ちに寄り添い、認めることで「自分にもできた」「頑張れた」という自己肯定感を高めることができます。不登校の状態から登校できたら、まずはしっかりと褒めましょう。
たとえ教室に入れなくても、グラウンドまでしか行けなくても、保健室登校だったとしても、学校に行けたのは大きな一歩です。登校したらとにかく褒める!これはしっかりと覚えておいてください。
不登校の子どもが登校したときの悪い声かけ3選
・学校に行けたじゃん!偉い!
・やっぱりお母さんの言った通り、頑張れば学校に行けたでしょ?
・学校に行けた!すごい!再登校への一歩だね
大げさに褒めたり、学校に行った事実を褒めたりするのは逆効果です。
不登校の子どもが登校したときの良い声かけ3選
・すごく勇気がいたと思うけどよく頑張ったね
・勇気を出して一歩進めたのが、何よりもすごいことだしうれしい
・学校に行こうと決めて実際に頑張って行動できたのが、何よりもすばらしいと思うよ
学校に通うために努力したことを褒めるのがポイントです。
長い言葉で声かけする必要はありません。短い言葉で、子どもの努力を認める声かけをしましょう。
久しぶりの登校のあとに親が気をつけるべきNG行動3選
・登校したことに舞い上がってしまう
・明日も行けるか確認してしまう
・学校に行けない日にがっかりする
親にとって、子どもの再登校は切実な願いですよね。しかし、その思いが強すぎて知らず知らずのうちに子どもを追い詰めてしまうことがあります。
久しぶりの登校のあと、子どもの心の中ではこんな気持ちが渦巻いているかもしれません。
・やっぱり学校に通うのは無理かも……
・みんなの期待に応えられない
・明日は行けないって言ったら、せっかくお母さん喜んでいるのに悲しむだろうな
子どもは、親の態度の変化に敏感です。登校したことに過剰に反応すると、「やっぱり不登校はダメなことだ」「不登校の自分はダメな人間だ」と思わせてしまいます。
接し方のポイント
・登校できた日もできなかった日も、同じように穏やかに接する
・「明日は行けそう?」はグッと我慢する
・行けない日があっても、表情や態度を変えない
不登校だった子どもが登校すると、喜びや開放感からつい期待が大きくなってしまいます。
・明日も行けるかもしれない
・不登校が解消されるかもしれない
・もう不登校に悩まなくて済むかもしれない
その期待が子どもを追い詰めます。
子どもが登校できない日は、私たち親も不安になったりイライラしたりするものです。決して恥ずかしいことではありません。
しかし、その不安やイライラを子どもの前で出すのではなく
・スクールカウンセラーや学校の先生に相談する
・同じような経験を持つママ友に話を聞いてもらう
・不登校について相談できる専門機関に相談する
>> 【私と同じ失敗をしないでほしい】不登校の子どもへの対応で親が後悔していること17選
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子どもの不登校について相談できる専門機関4選
子どもの不登校の相談が可能な、信頼できる専門機関を4つ紹介します。
不登校支援センター
不登校支援センターは、不登校や引きこもりを扱っている一般社団法人です。
不登校の相談件数 | 約10,000件(2022年) |
累積カウンセリング件数 | 約17万件 |
常駐カウンセラーの人数 | 70名以上 |
不登校の解決率 | 87.1%(2015年時点) |
オンライン相談への対応 | ◯ |
最新の不登校の解決率はホームページ内に書かれていませんが、80,000人以上の臨床データ数もあり、子どもの不登校の相談先として信頼できます。
>> 【一般社会法人】不登校支援センター
ひきこもり地域支援センター
ひきこもり地域支援センター は、厚生労働省が設置している機関です。ひきこもりに特化した相談窓口で、全国の都道府県や指定都市に設置されています。
深刻な引きこもり状態や、半年以上に渡って不登校の状態の子どもの支援に最適です。
国が設置している機関なので、他の機関との連携が充実しています。子どもの不登校の相談でしたら、まずこちらに連絡すれば間違いないです。
教育支援センター
教育支援センターは、教育委員会が不登校の子どもの学校復帰を目的として支援する機関です。
教育支援センターが行っていることの一例
・個別のカウンセリング
・教育相談
・少人数での授業
子育て相談ドットコム
子育て相談ドットコムより引用
子育て相談ドットコムは、子育てに関する悩みを専門家に無料で相談できるサービスです。
子育てに関するあらゆる悩みを、匿名で何度でも無料で相談することができます。
専門家の一例
・小児科医
・皮膚科医
・内科医
・栄養士
・臨床発達心理士
・精神保健福祉士
・保健師
・教師
24時間いつでも相談可能です。
>> 子育て相談ドットコム
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子どもが不登校のとき声かけ以上に大切なこと3選
子どもが不登校のときは、声かけ以上に親の考え方や環境が大切になります。
親の考え方や環境次第で、傷ついた子どもの心を癒せるかどうかが変わるからです。
親が子どもの不登校を受け入れる
親が子どもの不登校を受け入れられていないと、
・無理やり学校に連れて行こうとする
・子どもの心のSOSを無視してしまう
・子どもが必要としているサポートに気づけない
不登校の現実をしっかりと受け止め、親子でこれからどうするか考えるのが大切です。
子どもを第一に考えて行動する
不登校を解決するために本当に大切なのは、子どもの気持ちに寄り添い、心から安心できる環境を作ることです。
2024年に発表された調査結果によると、不登校の子どもは不登校のきっかけとして平均7.5個の原因を挙げています。
さまざまな悩みが複雑に絡み合い、自己肯定感が低くなっている状態です。子どもが今の自分の状態を受け入れ、一歩ずつ前に進んでいくためには親のサポートが必要不可欠です。
【子どもを第一に考えた行動のポイント】
子どもの気持ちを尊重する
・学校に行く/行かないにとらわれない
・ゆっくり休むことを認めて安心感を与える
・子どもが話しかけやすい環境を作る
親が家にいる時間を増やす、ピリピリせず穏やかな雰囲気でいる、定期的に家族で外出するなど
親が家にいる時間を増やす、ピリピリせず穏やかな雰囲気でいる、定期的に家族で外出するなど
自己肯定感を育てる環境を作る
・小さな達成感を積み重ねられるよう、簡単な目標を一緒に考える
・子どもの趣味を認める
・キャンプや旅行、塾など学校以外の場所で経験や楽しみを見つけ、「自分の価値」を感じられるようにする
親も心のゆとりを保つ
・親の焦りは子どもに伝わりやすいため、親もリラックスして子どもと接する
・親もリフレッシュする時間を持ち、家族の雰囲気が明るくなるようにする
・「不登校が続いても大丈夫だ」とどっしり構える
長期的に見守る姿勢が、子どもが自分らしさを取り戻すサポートになります。
>> 【アンケート調査】不登校のきっかけと学校復帰に効果的だったこと
学校ときちんと連携する
不登校の早期解決において、学校と家庭の連携は非常に重要です。
学校と家庭が情報を共有し合うことで、お互いに子どもの状態や変化をより深く理解することができます。定期的に学校に子どもの状態を伝えることで、学校もサポートしやすくなりますよ。
また、学校と定期的に連絡を取り合うことで学校行事を把握することができます。
例えば、子どもが「修学旅行、行ってみたいな……」とつぶやいたとしましょう。このとき事前に学校と連絡を取り合っていれば、
・修学旅行がいつあるのか
・何時にどこ集合なのか
・不登校でも参加することができるのか
・参加するときにグループや泊まる部屋を配慮してもらえるか
学校と連携できていないと、「いつ修学旅行があるのか分からないから、ちょっと確認してみるね」と子どもを待たせている間に子どもの気持ちが変わってしまうこともあるでしょう。
不登校の早期解決において、学校と家庭の連携は非常に大切です。
ただし、学校行事について事前に把握していても、子どもから聞かれない限り口に出してはいけませんよ。「参加しなきゃダメってこと?」とプレッシャーになってしまいます。
万が一聞かれた場合、すぐに答えられるようにしておく。このイメージですね。
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まとめ
不登校の子どもが望むのは、「学校へ行くように強制しないでほしい」と「自分を優しく見守ってほしい」の2つです。
・休むのを認める声かけをする
・親は子どもの味方だと伝える
・子どもが否定的なことを言ったら肯定する
・アイメッセージで言葉を伝える
・小さな変化を認めて褒める
・登校できたら努力を褒める
・登校したことに舞い上がったり明日も行けそうか確認したりしない
子どもが登校できない日は、私たち親も不安になったりイライラしたりするものです。決して恥ずかしいことではありません。
まずは子どもの不登校を受け入れ、子どもを第一に考えたサポートができるよう学校と連携して対応しましょう。
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